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『この世界の片隅に』作品制作ノート&監督トークショーに行ってきた。

この世界の片隅に」が東京アニメアワードフェスティバル2018でアニメ オブ ザ イヤー部門を受賞。

受賞記念に記念上映・・・ではなく2時間たっぷりの制作トークショーが催される、ということで行ってきた。2018年3月現在で未だ上映中、ということを鑑みてこういう形式になったそうな。

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場所は池袋ルミネ8Fのシネ・ルーブル

 

アニメ評論家の氷川竜介氏を交えてのトークショー・・・なのだが、何やらデスクトップ画面がモニターされている。曰く、監督が実際使われているPCを通して、制作資料をディスプレイしながらトークするとか。えっ!!なにそれ!!凄い!!

 

今までのトークショーで語られたネタもあるとは思いつつ、実際の資料をディスプレイしながら2時間たっぷりってのはかなり珍しいのでは。

 

印象的なエピソードを中心に、このセカファンがあまり取り上げなさそうなポイントやテクニカルな要素を中心に箇条書きで取り上げてみる。ちなみに参加者はほぼ2回以上作品を見ていましたw

 

 

・冒頭はこの世界の片隅にの企画書を紹介。当初はテキストだけだったらしいが、紹介されていたのはパンフレット並みの出来。アニメスタイル小黒さんが協力されているそうな。

・PCにはLINE、VLC、Photoshop7、QuickCheckerがインストールされていた。やっぱり連絡手段としてLINE便利ですよね。外資企業はSkype多いですけど。QuickCheckerはラインテストツール。と言われても、素人には何をするソフトウェアなのかさっぱりわからない・・・。タイムシートに従って画像を再生してくれるソフトウェア、ってことでいいのかな。こんなのチェックしてるの俺しか居なさそうw

・一番ギョッとしたところ。制作資料が全て画像ファイルとしてスクラップされているのだが、その数!多分数千(下手すると万行ってる?)。実際に撮影された当時の年月とメモがファイル名に記されており、相当な考古学的データベースが出来上がっていた。権利関係的に厳しいのが本当に惜しいぐらい。

・劇場アニメのパートの考え方の解説。宮崎駿の考え方が恐らく発祥らしいが、30分アニメ(実際には24分程度。最近のは20分もないとのこと)を区切りにAパート、Bパート・・・Fパートと区切りを付けているとか。トータルで120分、というのが先に決まり、そこに落としていくために経験値の高いTVアニメの尺で分割している、ということらしい。

・それでもやはり定められた尺に収めるのが大変で、1コマ1コマ考えなしに省くと全体のテンポが狂ってしまうそうな。この辺はカラオケ用動画(PVのようなもの)やら知人の結婚式用動画を作ったことがあるのでなんとなく苦労が分かる。何にも考えないと指定尺の3倍4倍に平気でなるんだよな・・・。そして何故リンさんのシーンがカット対象とすることにしたかについても言及されていた・・・が、ここでは省略。この時の片渕監督が言っていた「こういうことを何十年もやってきたんだなァ」という言葉が印象的。

・結局完成版は120分の尺に対して119分58秒。絵コンテも紹介されていたが、初期段階から既に106.5秒とか試算されているので、相当に尺に収めることに力が注がれていることがわかる。アニメ業界の中の人的には当たり前の話かもしれないが、素人的には割と新鮮。

実証主義、考古学的な掘り下げについては、「すずさんの実在を確立」させたいというのが目的だったそうな。そのためには既存資料だけでなく、自分たちで体験して動きを確認してアニメに落とす、という行為を地道にこなしていたとのこと。紹介されていた画像がまた膨大!起き上がるシーンも5パターンぐらい実際に試してみたところを写真に残しており、各パターンで5カットぐらいのボリューム。それも反対側から撮影したり、人を替えてみたり。

・ペンの持ち方、風呂敷の背負い方、膝上の布の撫で方、水桶の背負い方、草履の作り方、ノリの作り方・・・それらも全て体験中の写真が資料として残されていた。作画監督松原秀典氏が実証に拘っていた所もあるそうだが、とにもかくにも、すずさんが存在していたことを示すためのリアリズムの徹底が凄い。

・リアリズムの徹底にまつわるエピソードとして大塚康生さんの紹介が(この名前が出て喜んだアニメ(ーション)マニアは多そう)。テレコム時代の話だったと思うが、入社試験では壁を押さえる男の子、壁に聞き耳を立ててる男の子、壁を支えてる男の子を描かせていたそうで、そこから動画を経て原画に上げる時に課したテストが「大塚のガード下でコップ酒を呑んでる中年男性」だったそうな。

・キモはコップの持ち方(詳細は割愛)。その他にも大塚さんはパントマイマーを呼んで講座を開催していたらしい。パントマイムとアニメの共通点は「受け手と情景を共有しないと伝わらない」ということ。壁を押さえてる動きをしようとしたら壁というものが存在している情景が共有されないと何をやっているかわからない。情景を共有するには、まず作り手が実感しないといけない、と。

・その流れでもんぺを作る時に襖越しに景子さんをちら見したシーンが紹介された。ここは有る種のメタファーですね、と氷川さんが仰っていたのがとても印象的。

・さらに紹介されたのは、雨に関して程度による1コマあたりの落下量目安のExcel計算表!しかも「人間の目の時間分解能は50ms~100ms」とか補記もあり、理論を踏まえた演出が徹底されているようだった。

自衛隊総火演(など)に実際の鳴り具合の確認へ赴いていた、というエピソードも。そこでは機関銃(曳光弾)は肉眼で見ると線が長くレーザーのように見える、という話が。映像で見てしまうとどうしても秒間何コマという世界で区切られるので細切れに見えてしまうが、肉眼では見え方が違う、とのこと。生半可なミリヲタでは語れない世界。

・円盤発売に伴ってのリテイクは200数十カットほど。寒さの表現のために白い息を追加した、とか。

・こういった話の一環で超貴重映像の紹介が。それは先日報道にも挙がっていた北條家(こうの先生の祖父母の邸宅)の軒先でサギを追うシーンの実証動画。ここはガチで立ち入れない領域なので真の聖地。場内からもどよめき。ここでのポイントは、飛ぶサギを目で追いながら階段を降りると人はどういう動きになるのか。7テイクほどの録画映像を紹介頂いた。

・実際には人間が走るスピードより、すずさんが走るスピードのほうが若干早いらしい。監督の「年齢が違うから、で済ませたいけど」という言葉で場内は笑いに包まれる。実際にはやはりアニメーションにした場合の見え方、テンポなどがあり、実映像のペースそのままではやはり使えないらしい。アニメーションに落とし込むためのアニメーターの苦心がよく分かる。

・話がマイマイ新子に及んだ時には金田伊功さんの名前も。舞台にした川辺は金田さんの住んでいたあたりがモデルだったようで、当時金田さんがアヒル当番をやっていたとうい話を受けてアヒル小屋を追加したかった、という話。より事実に近づけることで、そこに人が居た、ということを確かにさせることが出来たはず、という内容だった。

 

 

氷川竜介氏から監督へ、次の取り組みについて質問。流石アニメ評論家だけあって、ファンの心理をよく掴んでおられる。もう1回同じようなアプローチで臨んでみたい、既に資料調査に着手している、との嬉しい回答。

もう行くことはできないけど時間を共有できる、ような作品を作りたい」とのことだった。鋭意構想中でMAPPAが10週年を迎えるまでには完成させたい、と仰っていた。

 

もちろんリンさんのカットも鋭意製作中。その辺に関する紹介もあった。個人的に嬉しいカットも製作されているらしい(かなり苦労しているらしいが)。

 

 

 

今回、作品制作ノートと冠しているだけあって、かなり本作の制作のツボを聞くことが出来た印象。

あと、大塚さんの大塚のガード下エピソードを聴いて、ドリフ(というか志村けん)ってこういう情景づくり、共有の仕方ってのが巧かったよな、ってふと思いだした。コップの持ち方も完璧だしw

往年のコント師もクリエーターとして、割と似るところがあったのかもしれない。

 

それから、紹介の度に監督のフォルダ構造がスクリーンに表示されているんだけど、とにかく資料が膨大でモノ凄い。一つ一つ印刷したら戦時文化博物館が出来上がるレベル。非公式なスクラップ資料なので公にできないのが本当に惜しいレベルだし、逆に入えば歴史学的に凄い貴重なトークショーだったとも言える。国家権力でなんとかならんか・・・。

 

本音を言えばチラッと見えた「防空砲台」だとか「ヘルキャット」なんてフォルダの中身を見たかったw

12.7cm連装高角砲の実物サイズ見たくて江田島兵学校見学ルートに単装がある)まで行ったけど一部日程だけの限定公開なんで、遠目にしか見れなかったからな・・・。日本にはありふれてたはずなのに割と実物を見れない古代兵器・・・。

 

制作資料のPCをディスプレイしながら、というのは見てる側にとっても非常に面白かった。こういったトークショーは今まであまり見たことがない。設定をかなり作り込んでるアニメは存在しているはずなので、こういうスタイルが増えると面白い(というか苦労された方々に陽の目が当たるだろうな)と思った。

 

 

 

そんな感じでみっちり2時間のトークショーは終わり。

期待はしていたけど、最後のフォトセッションで一般参加者も撮影可にしていただいたのは本当に嬉しい。最終的には伏せられてしまったけど、監督が最初、フランス語版タイトルデザインを画面いっぱいに表示されていたのは粋だな、と思った。

 

今回の会場、アニメーターはどれぐらい居たんだろう。忙しくてなかなか参加できないだろうけど、本職の方ほど聴く価値のあるトークショーだろうなぁ、と思った次第。

 

 

その他の写真

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