てなもんや四三式試製飛行機計画要求案摘要

好きなものは現金です。嫌いなものは労働です。

【ネタバレ】ミッドサマーはアウトレイジ

話題の白昼夢系?ホラームービー「ミッドサマー」を見てきました。


ホラー大嫌い人間(なのでコメディ大好き)なので絶対トラウマになるんだろうなあ、という思いで見たんですが、見てビックリ。そんなに怖くない。むしろ救済の物語。鑑賞後に沈み込むよりも「面白いなコレ!」って感情の方が勝ってましたね。


で、一言でいうと、「ミッドサマーはアウトレイジだと思いました。

 

 

アウトレイジとの共通点は以下のところ。

  • 前評判の割にはグロ描写がとても少ない
  • 映像美と訳者の演技がメイン
  • 登場人物全員が狂ってる

純粋に映像作品として素晴らしいな、と思いました。出演する女性陣が皆美しいのもGood。


そもそも、なんでホラー大嫌い人間がこの映画を見ようかと思ったのか、ですが、Twitterで話題になっている、だけでなく、

  • オスカー表彰式のOPでネタになるくらい大衆受けしている
  • 一般人(ミリタリー界隈の人)が「胸クソ悪い映画だった」とツイートしていたが、直後にミリタリー通常運転に戻っていた
  • 俺たちの松澤千晶が鑑賞していた

という理由があります。

3点目はさておき、言うほどトラウマになってなくね?これ行けんじゃね?というのが鑑賞に至ったきっかけです。


ぶっちゃけ、内容よりもヒグチユウコさんのポスターのほうが怖い。なので、安心してホラー嫌いも見てもらいたいと思います。

登場人物、全員悪人・・・とまでは言わないが

本作は言うほど悪人が出てこないのが清々しいと思いました。だってホルガの民みんな純粋(良い意味でも悪い意味でも)なんだもん。むしろ主人公集団の方が悪。なのでスリラー展開も「まあしゃーない」「ざまあ」みたいな気持ちで見てられます。


ホルガの民には露骨な悪意が無さそうだ、と感じたのはアッテストゥパンが終わってからあたりですかね。シフという司祭のババアが「待って!誤解しないで!」と異文化としての理解を求める説明をしていたあたり。あの辺から「ああ、こいつらはこいつらで正常なんだな」と思うようになりました。
あと、異人種とのセックス論の話になったあたりから「ああ、こいつらは外部の血を取り込もうと必死なんだな」という気持ちに。それはそれで正しいことだよね。

 

ホルガの民同様に、鑑賞前の想像と違って実は良い代物じゃん!だったのは本作の象徴と思っていたメイポール。これは意外でしたね。さぞや戦慄のモニュメントなんだろう・・・と思ったら単なるダンス会場でしかなかった。ちなみにメイポールは実際にスウェーデン夏至祭で使われているらしいんですが、Twitter情報曰くスウェーデン人が見ると苦笑するぐらいにかなり違和感あるみたいです。要は盆踊り会場の櫓がホラー映画の舞台になってるようなもんですかね。そら笑うわ。

あと、メイポールは男性器をモチーフにしてるみたいです。まあ、豊穣祈願のお祭りだし、形状的にチンポコモチーフっぽいな、とは思ってたんですけどやっぱりチンポコでした。

 

ホルガの民はカルトなのか

ホルガの村に入った時に「カルトか?」というセリフが非常に印象的でした。印象に残るということは、それが主題のひとつなんだろうなあ、とは思ってます。カルトという言葉の解釈は色々あると思いますが、英語版Wikipediaでの「Cult」の項を見る限りやはり世界的に「悪しき異端集団」という定義で捉えられているので、この記事でもそういう意味で語ります。

で、ホルガの民はカルト、すなわち悪しき異端集団なんでしょうかね。彼らは彼らで自らの文化を形成し、正しいと思って行動している。一部のリーダーによる目立った私利私欲的な行動も見られない。


さて、日本版公式サイトには見た人限定完全解析ページというものがあります。

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ここ、パスワード欄に「見た」という2バイト文字を入力させるという、衝撃的な手法が運用されています。ミッドサマーが無ければこんな素敵なログイン方法に出会えなかった。ありがとうミッドサマー。

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で、中身ですが・・・ホルガの民のことをめっちゃ「カルト」って連呼してて草

 


日本スタッフがカルトと呼称している可能性がありますので、これを公式見解と捉えてよいのかというのはあります。ただ、あまりにもどストレートに「カルト」と評していて笑ってしまいます。もうちょっとカルトかカルトじゃないのか議論をさせてくださいよ。
ちなみに、英語版Wikipediaには「Cult」連呼されているので海外でもホルガの民は「Cult」と見なされているのが一般的と見ていいでしょう。公式サイトにはそのあたりの言及は見当たりませんでした。アリ・アスター自身がホルガの民のことをカルトと称しているのかどうかは気になるところです。

ドラッグムービーとして

ホルガには頻繁にドラッグが登場してきます。まあ、オウム真理教覚醒剤でトリップさせて神秘体験→信者獲得ってやってたらしいですが、新興宗教に限らず古代からドラッグは非常に重要な宗教グッズだったりします。

ミッドサマーでは、バッドトリップもグッドトリップも映像として巧く表現されている点も一つ魅力なのかなと思いました。ホルガに入る手前の、主人公ダニーのバッドトリップは印象的ですが、個人的にはマークのトリップっぷり(の演技)が素晴らしいなと思っています。メイクイーンのパーティーシーンのドラッグ表現もクリスチャンのキマリ具合(の演技)もなかなか良かったですね。

まあ、これ見てドラッグやってみたい!とは思いませんね。厚生労働省はおクスリ追放活動の中でミッドサマー上映会をやるべきです。やっぱり酒が一番だわ。

 

いよいよクライマックス!!なのに・・・

上述の通り、鑑賞中は、ホルガの民には悪意の塊という印象よりも外部の血の取り入れに本気な集団、という印象に変わっていたので、キン肉星王位争奪編ダンスバトル編あたりからダニーとクリスチャンを意図的に破局させようという流れになっていたのは、割と予想できた感じでした。この後メイクイーンに選ばれたダニーが名誉の生贄になるのか?とも思いましたけど、貴重な外の人間を殺したりしないよなあ、と思ったり。

 

ところがこのあたりからツッコミどころ満載です。

セックス応援団

セックスドラッグキメてるとは言え、集中できないだろこれwwwという感想しかなかったですw
結構ここで笑っちゃう人多いみたいですね。ここは正直ホラー感台無しな印象でした。

覗き見ダニー

不自然に覗くの違和感あるし、門番的な神官どこ行ったんだよ、って気持ちでした。

全裸マンクリスチャン

チンポコ隠しながら逃げて、最後勝手に生贄候補者にされちゃいました。

生贄選抜ビンゴ大会

ビンゴすんなw

熊きたあああ!!と思ったら

熊の解体シーン。なんかこのシーンTwitterで見たことあるぞ!!劇中殆どグロシーンなかったし、いよいよこれが本編か!ひええええ!!!・・・と思ってたら、次のシーンに出てきたのはこれ

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ちなみに私は黄信が好きです。

イチイから取った。痛みを感じない。恐れを感じない。

恐れ感じてんじゃねーか!!!www

燃える神殿とそれに共鳴して泣き喚くホルガの民

こちらにも描いたけど、アニソン現場で泣き叫ぶオタクにしか見えなかったんですよね・・・

 


最後はダニーのにっこり笑顔で救済されて終わり。ハッピーエンドで終わったので俺も心穏やか。
(ただ、共感するのが基本理念のホルガで、皆泣いてるのににっこり笑顔ってことはまだ村に染まりきっていないのでは?という意見にはなるほど・・・とは思いましたね)

 

よーわからんかったところ

解珍・解宝まで出てきましたし、終盤の怒涛の流れでほぼギャグムービーと化してしまいましたが、やっぱりよくわからんところがあります。

以下は海外ネタバレサイトで見たディレクターズカット版についても言及しているところがあるので注意してください。

90年に一度のビッグイベント「祝祭」

90年に1回なのにあんなに慣れた感じで進行できるか普通?アッテストゥパンは定期的にやっているにしても・・・。
このあたり、やはり疑問に思っている人が居るみたいで、そもそも「90年に一度自体が嘘なのではないか」「定期的に外部の人間を招き入れているんじゃないか」という考察が散見されます。毎年盛大にやってるけどたまたま節目なだけ説もありますね。

サイモンとコニーの死

そもそも生贄メンバーが誰なのか、後で解説を見るまでよく分かりませんでしたが、アッテストゥパンで自ら命を絶った爺さん婆さんと、ダニーを除く主人公メンバーたち、イギリスから来たサイモンとコニー、志願したイングマール(イギリス組を連れてきたヤツ)とウルフ(ションベンマークを睨んでいたオッサン)の9人だそうです。

というか、サイモンとコニー殺されていたんかい!!途中でトラックに乗って別々に帰って行ったけど、確かに不穏だったし、劇中も悲鳴みたいなのが聞こえてきたんですよね。よくわからなかったんだけど最後のコニーの死体はブヨブヨしていたみたいで、つまり水死。ディレクターズカット版にはコニーと湖に絡むシーンも有るとか無いとか。ただハッキリとは描かれていないみたいですけどね。


サイモンは血のワシにされていた。バイキング伝統の「処刑」方法らしいです。あれ、てっきりションベンマークが罰せられた後なのかと思ったけど、何故サイモンが故意に殺されたんでしょうね??ディレクターズカット版でもサイモンについてはあまり描かれていないそう。


他のクズ共はさておき、何故二人が殺されたのか、はやはり考察班も気になっているポイントのよう。アッテストゥパンの進行を妨害したこと?それとも村を抜け出そうとした=秘密が漏れそうになったから殺された?

一番多いのは、サイモンとコニーが婚約していた(ことが判明した)ことによるイングマールによる私怨説。確かに連れてきたイングマールが「昔はコニーと俺は付き合っていた」とか嫉妬じみた発言してました。しかも若干支離滅裂さがあり、若干動揺していたような印象も受けました。私怨ではなく、外部の血を取り込むという目的を満たせなくなったから(用済み)という考え方もあるんでしょうか。

ションベンマークの死

ションベン事件以降、ウルフから睨まれていたマーク。ところが女の子に誘われて・・・からのラストカットの死体だけ。何があったんだ?と思ったら、これ、アリ・アスター監督自身が語っていたみたいで、「激怒した村人のウルフは、マークが女性と性交している最中に、画面に映っていないところでマークを殺す。映画では、ウルフがマークの皮を剥ぎ、その皮で作ったマスクを被って寺院に入ったことが示唆されているんだ」とのこと。

『ミッドサマー』の監督アリ・アスターがエンディングを解説!

一応、精子ゲットはしてたんですかね・・・。

全裸マンクリスチャンの死

全裸マンのてんやわんやシーンは村の狂気が初めて表沙汰になる重要なシーンです。
外部の血の取り入れに真剣な組織が、貴重な期待の新人をあっさり殺す点には非常に違和感を感じました。どう考えても1回で受精しないっすよね。精子を感じる~ってエロ漫画じゃないんだから。本来の目的からしたら、薬漬けしてでもセックス奴隷にするのが本来あるべき姿だと思うんですけどね。殺されたのはやっぱり血のワシ見ちゃったからなんですかね。
ちなみに、本編で言うほどクズ野郎感を感じなかったクリスチャンですけど、ディレクターズカット版ではクズ野郎さがよく分かるような描写があるそうです。やったね。

イングマールとウルフの志願

何故この二人が志願したのか。ダニーたちを連れてきたペレは何故志願しないのか?彼らの共通点って直接手を汚したか否かなんですよね。てことは、二人は罪を清めて極楽浄土に行くために志願したのか。それともホルガのおクスリパワーで意図的に志願させられたのか。

ペレとイングマールの悪意

彼らに悪意があったのかも気になるところです。少なくとも、ペレはダニーに対して好意があった。いや、好意なのか?付け入るスキを見つけたからなのか??ただ、ダニーだけを連れて行くのではなくクリスチャン達も連れて行っているんですよね。イングマールは昔の彼女と今の彼氏を連れてきた。うーん、並べて考えると、村のおクスリパワーで略奪セックス狙っているようにしか見えませんね・・・。ついでに彼氏やらどうでもいい連中は生贄として連れてきているような。
純粋な気持ちなのかどうか、というところも論点だと思いますね。生贄になることも最高だよ!!と純粋に思っている可能性もありますしね。ちなみに上記の完全解析ページによるとペレは「諸悪の根源」と書かれていましたw


ところで、ペレの両親は火事で死んだと言っていますね。これって要は今回の儀式ですよね。つまり90年に一度ってのは・・・やっぱり嘘?。しかもペレの親の世代ってことはアッテストゥパン対象になるほど歳行ってないですよね。イングマールやウルフのように、下手を打って殺されたのか、クリスチャンたちのように一家招き入れられて親だけ殺されたのか・・・。


こう、書き連ねて見ると、やはりホルガの民達は正真正銘の「カルト」で、かつ「嘘をついていた」っていう感じもしてきますね・・・。

 

ホルガの民が「嘘をついていた」となると、始めから生贄として、もしくはコミューンに招き入れる目的でメンバーを連れてきた点は理解しやすいですし、村から逃げ出そうとしたサイモンとコニーが殺されたのも合点がいきます。イングマールとウルフを生贄に誘導したのも、組織として都合が悪いから・・・。そう考えると、鑑賞時に「ホルガの民は純粋なんだな~」「悪人いねえじゃんこれ」「悪そうなリーダー居ないよね」と思った事自体が恐怖に変わってきます。

 

ガッカリポイント

満足度の高い映画と言いながらも、わずかながら、ガッカリするポイントはありました。それは「明確すぎる伏線」です。ミッドサマーは膨大な伏線が魅力の一つとなっています。ただ、

「あそこに描かれていた◯◯・・・実は●●なんだよ!!」

「な、なんだってー!!ΩΩΩ」

・・・っていうのではなく、暗喩でもなく、割とどストレートに描かれていたり。陰毛パイ&目がランランなラブストーリーなんてまんまですからね。フールザスキンも唐突すぎますし。鑑賞後の謎解きタイムで不気味さが若干薄れてしまったのは少し残念でしたね。

逆に熊の説明を「あれは熊だよ」で終わらせていたのは清々しくて良かったですね。今考えたら、あの熊についてはあそこで明確に説明できない・・・ということはやっぱりペレは「意図的に招き入れた」ハーメルンの笛吹き男だったから・・・なんですかねえ・・・。

 

まあ、今考えると不気味な要素が結構ありますが、とりあえず鑑賞後は清々しい気持ちになったのは事実です。その後、予定していたなぎら健壱のライブ(毎月吉祥寺のMANDALA2で開催されている)に参加して、ミッドサマーのことを忘れて笑ったり楽しんだんですけど、その晩、寝てる時にやっぱりフラッシュバックはあったんで、やっぱりホラームービーとして秀逸な作品なんだなあと思いました。