ネタバレ感想。
ジブリ最新作、君たちはどう生きるかを見てきた。全くの宣伝なし手法が話題になっていた本作。ドタバタでだいぶ旬を過ぎた後だったけど、一応見てきた。
率直な感想
うーん、やられた!って感じ。
今のジブリには一切期待してなかったので、最期は見事に爆死して散っとけ!ぐらいのノリで見に行ったんだけど(庵野界隈に多くいそうなヒネクレオタク)、流石の宮崎駿を見せつけられてぐうの音も出なかった。
内容は二の次の作画全振りアニメなんかな〜ってぐらいに見始めてたら、中盤からしっかりつよつよファンタジー。終盤の眞人の顔が往年のジブリ顔になってた時は流石にテンション上がるしw
他の人気作よりずば抜けての最高傑作か?って言われるとそれは違うと思うけど、傑作であることには間違いないだろう。ポニョとかハウルみたいな女子購買層向け作品と比べたら遥かにマシ。かつてのジブリを欲してた人には刺さるんじゃないかなあと。個人的にはちょっとこってりだったんでリピートまではいいかな、ってぐらいではあるが。
ジブリ総集編?と思ったら宮崎駿が中指を立ててくる作品だった
ジブリ作品の総集編、みたいな感想を見かけていたけど、確かにそうだった。過去作を明らかにモチーフにしたシーンが数多く出てくる。
ただ、それは陳腐なファンサービスだと思い込んでいたのだけど、実際のところ主題がスタジオジブリそのものであることの伏線だった。これには流石にビックリ。色んな世界(作品)に繋がってる館=スタジオジブリってことよね。
ある日突然空からトップクラフトが降ってくる
それを宮崎駿が根城にして、ボコボコ死人を出しながらwジブリという城を創り上げる
ポイントは大叔父が宮崎駿でもありながら、眞人も宮崎駿であるということ。眞人は決して未来を担うアニメーターとか視聴者ではない。
「ジブリを引き継ぐか?」→「何が神スタジオだ!クソの塊じゃねーか!」
「いやいや、素晴らしいスタジオだよ?安泰だよ?」→「うるせえ!安泰がなんだ!俺は俺の世界を作るんだ!滅びろ!」
作品タイトルで君たちはどう生きるか?なんて聞いているフリをしてるけど、実際には人の話なんて一切聞く気が無くて、俺が残される側ならこうするけどな!バーカ!って言いながら中指立てて去っていくのを見せつけてる感じw
で、ジブリをぶっ壊して終わるw
アニメーターならそう思うだろ?だからジブリなんてぶっ壊して終わるぜ!!ってノリなんだろうなw
なんか、実写ダンボ(※)をセルフでやったような感じw
※監督したティム・バートンがまさかのアンチディズニー演出を繰り広げて、ディズニーランドっぽいドリームランドが大炎上するw
で、どうもあのアオサギのキャラデザがオヤジ顔でキモくてダメだったんだけど、最後に眞人があの世界の石を持ってきてたシーンで合点がいった。
アオサギはキツくダメ出しする訳でもなく、割と寛容なスタンスを見せたこと。そして、あばよ友達、と言って去った。
要は、ジブリをぶっ壊しながらも、思い出とか経験とか得たもの感じたものを大切に取っておくっていうなら、それはそれでまあ、好きにしなよ、ってことよね。内心嬉しいんだろう。ツンデレかw
あのシーンに限っては眞人は未来を担うアニメーターであり、視聴者でもあり。そしてアオサギは宮崎駿そのもの、だからこそ醜いオヤジ顔の生物に描いてたんだろうな。
そう考えると、最初にアオサギが眞人を館に誘い込もうとしたのも、自分が作ったアニメの世界にどっぷり引きずり込もうとする野心そのものに思えてくる。
いや?もしかしてアオサギは鈴木敏夫だったのかも??w
まあ、とにかく。ジブリをぶっ壊して、思い出を持ち続けたいってことならまあいいけどね。じゃあな。いつまでも友達だぜ。って締めくくりを見せられた訳で。宮崎駿、お疲れ様でした、っていうのが一番の感想。
あとはペンネーム変えて、余生をゆっくり泥まみれの虎のアニメ化に励んでください。
いわゆるジブリ飯について
近年はここぞとばかりに〜ってノリで嫌いなんだけど、今回は期待させるような動きを見せながら全然美味そうに見せなかった。
逆に冒頭の缶詰とか紙袋に入った砂糖とかの方が美味そうに感じるし。
これってジブリ飯ジブリ飯とチヤホヤしているムーブメントへのアンチテーゼなんだろうな。宮崎駿、最後にやってくれたなwと思っちゃった。
作画レベル
これはもう、最後の最後にやりたい放題やってたなあ、という感想。宮崎駿クラスでも最後の機会とかじゃないと好き勝手にアニメ作れる訳じゃないって思うと悲しくなるけど。
それにしても相変わらずというか、水の描写がヌルヌルだ。
クッソどうでもいいことなんだけど、ジブリ総集編と言いながら(言ってない)、女児のパンツが一切出てこなかった。流石に年齢的に女児のパンツには興味わかなくなったんだろうな〜と感じた次第。
ジブリモチーフについて
ジブリモチーフのとこは、最後の方はノリにノッてて、紅の豚のジーナの裏庭っぽいところでポルコ・ロッソの声で大叔父が喋るシーンは胸熱だった。まあ、後で調べたら森山周一郎はとっくに亡くなってて、単なる俺の勘違いなだけだったけど。
各作品のモチーフが登場する中で、俺の好きなたぬきはどのへんだったんだろうな。わらわらがぷくっと膨らんで浮いていくところだろうか。あれはどっちかっていうとコダマなんだろうな〜とは思ってはいるのだが。
親父が唐突に帯刀&抜刀してインコに向かってくシーンは笑ったけど、もしかしてその辺がたぬきモチーフ(合戦シーンのセルフパロ)だったんだろうか。
館がスタジオジブリそのものなら、ペリカンとインコにもモチーフがあるんだろうな。ペリカンは若い命を捕食する=搾取者=製作委員会とかスポンサー?
インコは館の内部に巣食って王国を築き、宮崎駿にも直訴したり若いアニメーターを食おうとしたり=アニメ評論家やアニメオタク?
そういえば映画館で去り際に他のオタクが「岡田斗司夫〜」とか語ってたけど、もしかしてインコ大王のことを岡田斗司夫と称してたんだろうかw
まとめ
総じて、スタジオジブリの総決算、という作品でとても良かった。シンプルなファンタジーモノとして見るとアレかもしれないけど。ほんと、宮崎駿やりたい放題!って感じで。やられたな~っていう一言に尽きる。
世間の評判は作画以外はなかなかに悪いみたい。でも裏テーマを意識しながら見ると、なかなか面白いんじゃないかなあ、と思う次第。